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コーシャって何?「コーシャ認定食品が健康にいい」は本当?

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「コーシャ」や「コーシャ認定」という言葉、聞いたことがありますか?

アメリカでは多くの食品に「コーシャ認定マーク」がついているのですが、コーシャは「健康にいい」「品質がいい」と、日本でも徐々に話題になってきています。

でも、これって本当なんでしょうか?

気になります!

そこで今日は、コーシャについてチェックしていきたいと思います。

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Photo by Victoria Shes on Unsplash

Contents

コーシャとは

コーシャ(Kosher)は、ユダヤ教の食物の清浄規定「カシュルート」を満たす食品や食品加工方法のことです。

この規定は5000年も前に誕生したと信じられています。

また、コーシャという言葉の語源は、ヘブライ語で「適正」や「相応しい」という意味だそうです。

カシュルートの内容

カシュルートは、簡単に言えば、ユダヤ教徒の食事のマニュアルです。

ユダヤ教徒が「食べるべき食品」と「食べるべきではない食品」の詳細、また、各食品がどういった方法で加工されなければいけないのかが、細かく書かれています。

全てのルールを説明するのは難しいですので、中核となる部分だけを解説していきますね。

食品の分類と食べ合わせのルール

カシュルートでは、全ての食品は次の3つに分類されます。

  • 乳製品
  • 肉と乳製品以外(魚、卵、植物性食品など)

ユダヤ教の伝統によれば、肉と乳製品を一緒に食べることは、一切禁止されています。

また、加工や調理の段階でも肉と乳製品が触れることは許されていません。

食事に使う食器やフォークなども、肉を食べる用と、乳製品を食べる用の2セット用意する必要があります。

もちろん、肉用の食器や調理鍋と乳製品用の食器や調理器具などを、同じシンクで同時に洗うことも出来ません。

また、肉と乳製品を食べる時は、その間隔が、1~6時間開いていなければいけないとされています(宗派や教えによって変わります)。

コーシャと言えば、この「肉と乳製品を同時に食べられないルール」が一番有名でしょう。

ふむふむ。クリームシチューやチーズバーガーは食べられないし、ミートパスタにチーズをふりかけるのもNGなんだね。

食べてもいい食品

下記の食品は、カシュルートにより食べてもいい食品、つまり、コーシャです。

  • ヤギ
  • 鹿
  • 七面鳥
  • カモ
  • ガチョウ
  • アヒル
  • ウズラ
  • 魚(ヒレとウロコがあるもの)
  • 魚卵

食べてはいけない食品

下記の食品は、カシュルートにより食べるべきではない食品、つまり、非コーシャです。

  • うさぎ
  • 貝類
  • 甲殻類
  • ヒレとウロコがない魚(マグロ、ウナギ、あなごなど)

コーシャ食品の加工・管理

例えば、牛肉はコーシャですが、スーパーに売っている普通の牛肉はコーシャではありません。

カシュルートでは、ショーヘートと呼ばれるラビ(またはラバイ・ユダヤ教の宗教指導者)が任命したシェヒーター(ユダヤ教における正しい生き物の屠殺(とさつ)方法)の専門家が加工・処理した牛肉でなければ、コーシャとは認められません。

もちろんこれは、牛肉以外の食品でも同じで、コーシャ食品は、それぞれ細かいルールを厳守しながら商品化されます。

コーシャ認定とは

コーシャ

コーシャ認定とは、カシュルートの規定を満たした食品に与えられる認定で、敬虔なユダヤ教信者の買い物を助ける目的で誕生しました。

アメリカには1000以上のコーシャ認定団体がありますが、市場に出回るコーシャ認定食品の80%はコーシャ認定の「ビッグ5」と呼ばれる5団体から認定を受けていると言われています。

ビッグ5は、Orthodox Union、OK Kosher Certification、Kof-K、Star-K、Chicago Rabbinical Councilです。

日本にも、コーシャジャパンという認定団体があるようです。

コーシャの認定では、書類審査、原材料の出どころの調査、ラビによる工場視察や設備・製法のチェックなど、すべての項目をクリアする必要があります。

特にお肉の認定は大変そうだね(汗)。

屠殺方法もそうだけど、乳製品や貝類と同じ場所では加工できないしね。

コーシャ人口

1990年代後半に入り、ナビスコやウォルマートなどの米国大手企業・メーカーが続々とコーシャ市場に参入し始めると、コーシャという言葉もアメリカで一般的に知られるようになりました。

しかし、今現在アメリカにカシュルートを厳守するユダヤ教信者がどれぐらいいるかというと、ユダヤ教正統派(全体の10%)の中でも15%ほどだと言われています。

アメリカにおけるユダヤ教徒の人口自体も、全人口の2%ほどと少ないですので、かなりの少数派ですよね。

私もユダヤ人の友人が数人いますが、コーシャの人は1人もいません。

また、市場調査会社ミンテルの調べによれば、宗教上の理由でコーシャ食品を買う人はコーシャ―食品購入者全体の15%のみとのこと。

つまり、残りの85%の人は、ユダヤ教でないのにも関わらず、コーシャ商品を買っているということです。

同社の調べによれば、非ユダヤ教消費者がコーシャを選ぶ理由として、全体の62%が「品質が良いから」、51%が「健康的だから」、また約1/3が「安全性が高いから」をあげたということです。

コーシャ認定の食品は衛生的なの?

コーシャ認定食品は一般の食品よりも衛生的なイメージを持つ人もいますが、実際にはそうでもないようです。

アメリカではコーシャ認定の鶏肉から、一般的な鶏肉や有機鶏肉よりも多くの大腸菌が検出されたという報告もあります。

ただ、コーシャ認定食品も、食品衛生法は守らなければいけませんので、安全面でコーシャの方が劣るということも逆にないでしょう。

「コーシャだから安心」と手洗いや調理における、家庭での食中毒防止対策を怠るのは危険です。

コーシャ認定だとエシカルなの?

牛
Photo by James Hammond on Unsplash

カシュルートには「動物は『尊敬と慈悲心』を持って屠殺されなければならない」という決まりがるため、以前は「コーシャ食品は動物に優しい・より倫理的」と言われることがありました。

しかし、現在では「コーシャが動物に優しいわけではない」との考えが広まりつつあります。

日本でも著書『100歳まで元気に生きる!』で知られるジョン・ロビンズは、米国の食肉業界の現状に迫った『ダイエット・フォー・ニュー・アメリカ』で、現代のコーシャ―屠殺は「より優しい」屠殺などではないと言い切っています。

例えば、カシュルートによれば、コーシャ―牛は屠殺時に「健康で動き回っている状態」でなければいけません。

これを現代の食肉加工に当てはめると、「屠殺は気絶させずに行わなければいけない」という解釈になります。

しかし、食品衛生法を守るためには屠殺は衛生上の理由からテーブルの上ではなく、天井からつるした状態で行わなければいけません。

なので、コーシャ―牛の場合、牛は意識のある状態で天井から片足で吊るされます。

また、沢山の牛を一気に吊るして、順番に処理していきますので、かなりの時間吊るされた状態になり、脚は骨折し、血が頭に上り、最後まで苦しみ続けるといわれます。

もちろん、昔ながらの伝統を守って、よりエシカルな方法での屠殺や精肉を行っている会社もあると思いますが、特に大企業の場合、あまり期待はしない方がいいかもしれませんね

コーシャ認定だとアレルギー対策になるの?

カシュルートのルールでは、乳製品と肉は同じ場所では処理できませんので、コーシャ認定は、乳アレルギーの人が肉や肉を使った加工品を買うときに役立つかもしれません。

また、貝類や甲殻類はコーシャではありませんので、これらの食品にアレルギーがある人も、コーシャ認定を目印に買い物をすると効率的かもしれません。

もちろん、重度のアレルギーの人はコーシャ認定マークがあっても、十分注意しなければいけませんけどね。

コーシャ認定だと健康的なの?

コーシャ認定食品だからといって、健康的とは限りません。

確かに、品質が高いイメージのコーシャですが、基本的な考え方として、カシュルートはあくまでもユダヤ教徒の宗教信仰のためのルールですので、健康とはまた別物だということを、理解しておかなければいけません。

ユダヤ教徒にとっては、コーシャを食べることで精神的な健康が養われることは、間違いないでしょうけどね。

ある食品が健康かどうかを判断するためには、コーシャ、非コーシャに関係なく、原材料表示や製造元のチェックをすることをおすすめします。

「動物に優しい」「丁寧に加工されている」といった何となくのイメージから、コーシャと「健康」や「高品質」を自動的に結び付けるのは、今の時代、必ずしも賢い選択ではないかもしれません。

今と昔のコーシャ

昔ながらのコーシャ―食品は、ユダヤ教の厳しい教えにのっとって手間暇かけて製造されていたため、知らず知らずのうちに食品自体の品質も高くなり、より倫理的な食品でもあったのだと思います。

しかし、コーシャがブームになって以降は「食品に対する感謝」という精神的な面が欠落し「コーシャのルールさえ守っていれば何でもよい」という風潮が大手の食品会社の間では蔓延し、品質の降下が著しいともいわれています。

コーシャ食品は、昔はユダヤ教徒のために作られていましたが、今はコーシャ食品購入者の85%を占めるともいわれる非教徒を主なターゲットにしている会社も多いですので、この変化は仕方がないのかもしれません。

こんな理由から、「今と昔のコーシャは少し違っているんだ」ということを、頭の隅に置いておくといいかもしれませんね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

コーシャ食品は、必ずしも一般的な食品より健康的ということはないようですね。

ただ、昔ながらの伝統や品質の高さに誇りをもって製造している会社の食品なら、買ってみる価値がありそうですよね!

特に、コーシャのお菓子は美味しいものが多いのでおすすめです!